―――昼休み。
「あ~いちゃ~ん」
廊下を見ると結衣がこっちに向かって手を振っていた。
その後ろには美咲。
「あ、ちょっと待ってて!」
あたしは弁当箱を鞄から出すと、二人に駆け寄った。
「お待たせ、どこで食べる?」
「中庭だって」
やれやれって感じで美咲が言った。
結衣が駄々でもこねたのかな?
「じゃぁ~行こ!」
結衣の機嫌が目に見えて良い。
ニコニコしてる。
「ハイハイ」
「あ、ちょっと待ってよー」
あたし達は中庭に行った。
意外にも人は疎らだ。
「みんな食堂かな?」
「ここの食堂、美味しいって評判だよ~」
「へぇ、そうなんだ」
あたし達はベンチに腰を下ろした。
それぞれ弁当箱を開ける。
「――あ、美咲ちゃんやっぱりつくってもらってる~」
「料理とか趣味じゃないし」
ちょっと覗いてみる。
美味しそう、すごく。
「…お兄さん?」
美咲の家は母子家庭だ。
お母さんは看護師だから、お弁当を作るのはきっときついはず。
だとしたら、この間話に出てきたお兄さんかな。
「そう、正解」
家事全般そうだと言った。
「…結衣はお母さん?」
「うんそぉ~いいでしょ~?」
「うん、美味しそう」
お世辞じゃない、本当に美味しそうだ。