普段は温厚な結衣がこんな風に、声をはって言ってくれたことが、あたしは素直に嬉しかった。


「…ありがとう、二人とも」


初めてだったから、『恋』は。

すごく不安だったから、二人が反対しなくてよかった。


店内の注目は浴びちゃったけど。


「――で!」

結衣はポスンと座るとニヤニヤしながら聞いてきた。

「誰なのぉ~?
愛ちゃんが一目惚れしたっていうイケメン君は」


…誰、誰…だれ?


「…隣の席の、男の子」


そう言ったら結衣のテンションが急上昇した。


「隣!すごいすごい!わぁ~!」

「落ち着け結衣」


美咲がコーヒーを飲みながらあたしを見た。


「で、名前は?」

「…わかんない」


二人ともポカーン。


またかよ!!