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魔法学校には年に一度、総合試験試合と言うものがある。
普段は一切かかわりがないクラス同士が公開試験と称して試合を行うのだ。
この試験で優秀な成績を収めれば、王国の軍に推薦されることもある。
その為生徒の間では、この総合試験試合はとても重要な意味をもつもので。
生徒たちはかなり熱を持って試合に挑む。
試合を行うのはクラスの中でも特に優秀な上位五名の魔法使い。
もちろんグロル、そしてシルベスターもそのメンバーに選出されていた。
昼休み
グロルたち三人は中庭のベンチでご飯を食べる。
「リラもクラスでトップだろ。今度の総合試験試合もでるんだよな」
「うん。でも皆の補佐役だからね」
光属性クラスは試合自体には参加しない。
この試合は唯一魔法学校で、本気で行われる戦闘試合だ。
学校の教官の指導下ではなく、生徒個人個人がそれぞれの判断で実戦形式でおこなうもの。
怪我人も多く出るし、その怪我の度合いも大きい。
そんな魔法使い達の治癒をするのが、軍に仕える医療班と光属性クラスの選ばれた優秀者。
試合に出る魔法使いたちと同様に、働きが評価されれば軍の医療班に推薦されることもある。
リラはそちらに出るというわけである。
パクリとデザートのアイスを口にしながら、リラはため息をついた。
「私も一応行くけど、たぶん何もできないなあ...」
トップの成績を誇るリラは、知識と技術はあるが魔力が少ない。
実戦向きではないにもかかわらず、彼女が試験試合に出向くのは、学校側の指示。
表向きだけでも彼女の力を評価させたいのだろう。
「......でもファーナーがいるなら安心だな。存分に力を発揮できる」
「そうだなっ!!リラがいると安心だ!」
シルベスターとグロルは顔を見合わせて笑う。
グロルの方は不敵な笑みか。
「もう...あんまり無茶しないでね二人とも」
リラの心配をよそに、二人は興奮しっぱなし。
そんな彼らを見てリラは再びため息をついた。
「男子って...ホントよくわからない。何でこんな怪我するようなことが好きなのかなあ...」
彼女の呟きは、興奮気味の二人には結局届かず、
その数週間後、総合試験試合が始まった――――