「他人に『君は人間失格』と言われたら、誰が何と言おうとその人は人間失格なのか。その逆もしかり。

 まず、“人間”とはなんなんだろう?生きていたら人間なのか。話せるから人間なのか。感情があるから人間なのか。考えることが出来るから人間なのか。

 交尾は人間以外の生き物もするから、それは判断基準にはならないね。自分の子孫を残そうとするのは生物の本能だし、人間の遺伝子にも埋め込まれている。

 心?相手を思いやる気持ち?相手を愛する感情?まあ、一説によると愛情=性欲と考えられているみたいだし、結局のところ、子孫を残すという生物の本能を“愛”だと勘違い……あるいは綺麗事のように捉えているっていうことなのかな。そう考えると、愛情なんて不確かなモノも判断基準にはならないのかもね。

 それなら、容姿はどうかな?瞳や肌の色は関係ないよね。どんな色であろうと、その形が“人間(それ)”なら人間だということになっているみたいだし。

 でも、下半身が魚の生き物を“人魚”だと呼ぶのなら、上半身が“人間(それ)”だろうと関係ないのかな?上半身は人間の判断基準にはならないということなのかな?

 ああ、けれど、たとえ手足がなかろうと、身体のどこかが不自由だろうと、我々はその生物を人間だと呼ぶんだっけか。「そんな輩は人間じゃない」と言えば、「そんなことを言うお前の方が人間じゃない、差別だ」と後ろ指をさされる。

 かといって、「どんなヒトだろうと彼らは我々と同じ人間だ」と言えば、「偽善だ」「同情だ」と謎の非難を受ける。うん、どうしようもないね。笑っちゃうよ」