そうだ。

 家族は私が物心ついた頃からすでに冷めきっていて、クラスメートには毎日のようにイジメられ、先日……信じていた彼氏に浮気をされた。

 クソみたいな人間関係に嫌気がさしたんだ。

 私はどうして生まれて来たのか、どうして今を生きているのか、そもそも私に生きる意味などあるのか……。

 きっと、どれも無いんだろう。

 私は誰にも必要とされていないのに産み落とされ、死ぬ勇気がないからのうのうと今まで生きてきて、そんな私に、これからを生きる意味など存在しない。

 私は──早く死ななくてはならない、この世界にとっての害虫の一匹に過ぎないのだ。


「どうして私を産んだの?」


 母親にそう尋ねた時、彼女は冷たい目を私に向けながら口を開いた。


「どうして産まれてきたの?」


 はは。そんなこと、私に分かるわけがない。


「あんたなんか、産まれてこなければよかったのに」


 分かるのは、最初から……産まれて来る前から、私は母親にでさえ必要とされていなかったということだ。

 産まれてこなければよかったと思うのなら、産まれてくる前に私をぐちゃぐちゃに切り刻んで殺せばよかったのに。

 自分が自分だと自覚する前に、世界の広さや残酷さを目の当たりにするその前に。

 人殺しにはなりたくなかったという自己愛なら、自分たちの快楽のために営まなければよかったのに。

 私は母親や父親の快楽によって生み出された、汚物に過ぎないのだ。