「──死ぬの?」


 唐突に背後から投げ掛けられた、無垢のようで、実は残酷な言葉。

 一歩、踏み出せば、私の命はあっという間に終わるのに。

 命とはそういうモノで出来ているのに。

 無慈悲にも、その声に引き止められる。

 声に引き止められることで、私の命は1秒、また1秒と……悲しいことに、刻々と“生かされる”のだ。


「……」


 私が今までどんな思いをしながら、どのように生きてきて、どのように死んでいくのか……“あんたには関係ないだろ”、と。

 ゆっくりと振り返り、声の主を思い切りギロッと睨みつける。

 実際に思っている“それ”を口にしないのは、そんな気力がないからだ。

 なぜ、命を絶とうという間際に、無駄な気力を消費をしなければならないのか……理解に苦しむ。