もちもちは時計に目をやると、
あたしの所にやってきて、窓ガラスに寄りかかった。
「白井真幸(しらい・まゆき)…それが俺の彼女の名前」
「もちもち、仲良いんだってね」
「……まあな」
照れたように笑うもちもち。
そして今まで見たことのない、優し気な表情をして話し始めた。
「ユキを見つけたのも、最初は真幸だった」
「え?そうなの?」
「ああ。
ユキって名前も、体が真っ白で雪のようだっていうのもあるけど、真幸って名前から取ったのも両方ある」
「じゃあ何で、ユキくん、飼っていないの?」
「真幸の両親、猫アレルギーじゃないんだけど、動物が駄目らしいんだ」
「そうなんだ……」
「誰か、飼えると良いんだけどな」
「……あたし、飼おうか?」
「え?」
「あたしもお姉ちゃんも、今はいない両親も、猫大好きなの。
あたしの家で良ければ――…」
「遠慮しとく」
途中で遮られた。