朝が早いからか、誰にも会うことなく、塀の上をまるで迷路のように進むもちもち。
「もちもち、早い……」
「どんくせぇなぁ。早く来い」
「もちもち~!」
「もちもちもちもちうるせぇな。ほら」
手を出され、一瞬戸惑うも怖かったので握った。
「落っこちそうになっても大丈夫だ。
俺が支えてやるから」
「もちもち……」
「行くぞバカメ」
「バカメじゃない、あたしはアヤメ!」
「似たようなもんだろ」
もちもちに手を引かれながら、塀の上を進み。
「ほら」
「え?…きゃあっ」
いきなり塀の上でもちもちに横抱きにされたと思ったら。
ヒョイッと音もたてず、もちもちは地面に飛び降りた。