「もちもちの手、あったかい」
「……眠いからな」
「何それ」
ケラケラ笑っていると、もちもちも一瞬クスッと笑った。
だけどすぐに、方向転換をする。
「ついて来い」
「え?まさかこの上通って行くの?」
「当たり前だ。行くぞ」
平均台並みに細い塀の上を、どんどん歩いて行くもちもち。
あたしは落ちないよう、一生懸命追いかけた。
「こっちだ。
他の家だから、落ちないようにな」
「ていうかもちもち、こんな所いつも通っているの?」
「ああ」
「誰かに見られたりしないの?」
下手したら泥棒と間違われて通報だ。
「馬鹿かお前。
俺の顔は老若男女全てに良いって言われてんだよ。
俺が少しでも微笑めば、簡単に見逃してくれる」
…何かそれ、ムカつく!