溜息交じりに言ったもちもちは、何だかどこか寂しそうに見えた。
だからあたしもその先は聞かず「そっか」とだけ言った。
「名前は?」
「ユキ」
「ユキ?可愛い名前~」
て言うか名前あったんだ。
「ユキちゃん」
「ユキはオスだ」
「…オス猫にユキなの?」
「名付けたのは俺じゃない」
溜息をつくもちもちは、優しくユキくんの頭を撫でる。
その様子を見て、もちもちが焦っていた理由がわかった。
「もちもち、いつも帰り道はユキくんに餌あげているんだね?」
「……そうだけど。よくわかったな」
「いつもの餌の時間に間に合うように、急いでいたんだね?」
「……当たり前だろ。待たせたら可哀想だ」
食べ終わったユキくんが、もちもちを見上げて「にゃっ」と鳴いた。