それから待つこと1分ちょっと。
「はろ」
「ぅわああっ!?」
「うるさい。近所迷惑」
そ、そりゃ驚くでしょーが!
ベンチに座っていたら後ろから「はろ」だよ!?
「背後から突然現れないでよっ!」
「ちゃんとこれからは後ろも見ておけ」
呆れたように溜息をつくと、第一ボタンだけ開けていたワイシャツの前を、
第二第三と開け始めた。
同時に少しだけ緩めていたネクタイも、ますます緩める。
ちょっとだけ、鎖骨がチラリと見えた。
「……」
「んなマジマジ見るな」
「あっごめん」
再び溜息をつくと、横を向き、少しだけ自分の髪の毛をワシャワシャと掻いた。
そして「あー…」と歯切れのない言い方で話しだした。