「どうしたのこれ……」
「これ、うちのクラスの女子で作っているんだ。
ほら、今も撮っているでしょ?
あれを私が100円で買い取って、こうして冊子にして、500円で皆に売るの。
うちのクラスは勿論(もちろん)、他クラスから文化祭の日は他校まで売れるんだよ?
望月くんはこのこと知っていて、それで編集長の私のことを、下の名前で呼ぶんだよ」
あたしは聞きながら冊子を捲(めく)る。
殆(ほとん)どが教室で撮影され、たまに体育中らしく体操着姿の望月桜太も写っている。
カメラに気が付いていないのか、基本的にカメラの方を向いていない。
「これ隠し撮りじゃん……」
「でも人気だよ?
人気過ぎて次号はまだかって問い合わせがあったり、1日で売り切れることもあるんだよ。
アヤメもいる?」
「いらない……」
何度も言うけど本性を知った今、笑顔が全てうさん臭く見えてしまう。
どんな風に思っているんだろうか…。
「ちなみに1番の激レア写真は、これ!」
スマホの画面を見せてくれる胡桃。
写っていたのは、真顔の望月桜太。
「授業中ぼんやりしていたのを隠し撮りしたんだ。
これ、1000円で以前落札されたよ」
「落札って…オークションかよ!」
はぁ、と冊子を閉じながら溜息をつく。
我が親友は何をしているんだか。