どういうこと?

何故同じ時間に出て、しかも逆方向に行ったのに、誰よりも早いの?

可笑しくないか、それ。





「ねぇ胡桃」


「何ー?」


「望月くんの彼女って、どんな人なんだろうね」





廊下側の1番後ろの自分の席で、男子たちと楽し気に話している望月桜太。

時折笑い声を漏らし、その度に近くに集まる女子たちが、スマホカメラのシャッターを切っている。

…アイドルか。





「噂によると、すっごく美人らしいよ」


「へぇ……美人」


「そう。
誕生日とかクリスマスには欠かさずプレゼントくれたり」


「凄いんだねー。
まぁ彼女として当たり前か」


「写真見せてもらう?」


「え?」


「行こうっ?」





グイッと胡桃があたしの手を取って立ち上がる。

ちょっと待て待て待てお姉さーんッ!