「それじゃ、行ってきます」
「行ってきますね」
「行ってらっしゃいアヤメ、桜太くん」
「気を付けるんだよふたり共」
手を振られながら見送られ、
何だかあたしと桜太くんが、お姉ちゃんと風太さんの子どもみたいな錯覚になる。
コイツと兄妹…あり得ん。
「それじゃ」
「え?どこ行くの?学校こっちだよ」
「用事あるから、またな」
朝の出来事が嘘のように、普通にスタスタ歩いていた桜太くん。
それが家を出て数分で方向転換してしまった。
…何なんだろ、あれ。
「そーだアヤメ!」
「何ー?…って、は!?」
呼び捨て!?
さん付けだったんじゃないの!?
「放課後、近くの公園に誰にも見つからねぇよう来い!
何かあったらハインしろ!」