へぇ…望月くんパンなんだ。
そう思いながらあたしもパンに手を伸ばす。
何もつけないでぱくりと食べながら横を見る。
ジャムが少量乗った、食パン。
へぇ…ジャムつけるんだ。
「…どうしました?河西さん」
あたしの視線に気が付いたのか、にっこり微笑む望月くん。
笑っているんだけど…何だろう。
目の奥は笑ってないよね?
“こっち見るな”…そう言っているように見えてしまう。
「何でもない」
「そうですか」
あたしたちは無言でパンを食べた。
するとその様子を見ていたお姉ちゃんが、爆弾を落とす。
「アヤメも桜太くんも、お互い下の名前で呼べば良いじゃない」
「はっ!?」
あたしも望月くんも手を止めてお互いを見る。
桜太くん?
どこの少女漫画よ、あり得ない。