「彼は……?」
「望月桜太(もちづき・おうた)くんだよ!」
「望月……?」
風太さんと同じ名字…?
…気のせいだよね。
「入試もトップ合格で、イケメンで、何よりイギリス帰り!?って思うほど紳士なんだよ!」
「へぇー!」
「だけど彼女がいるんだってー!」
「彼女!
さぞかし美人なんだろうなぁ」
美男美女で、お似合いだね!
「そういえばアヤメ、その制服どうするの?
ていうか何があったの?」
「あっ!ねぇ聞いてよー!」
あたしは今朝出会った最悪な男子の話をした。
望月くんの紳士ぶりを見た後でこれはどうかと思ったけど。
誰かに話さざるを得なかった。
「それは災難で。
でも、制服そのままの他なくない?」
「だよねー!
あぁ、ツイてない……」
あたしは廊下で盛大な溜息をついた。