かつてお姉ちゃんが言っていた言葉だとは言え、とても恥ずかしくなった。
「確かにその通りですよね。
僕も改めて学びました。
こちらこそ、ありがとうございます」
ペコリと頭を下げる彼。
アホとしか思えなかった男子と同じ生物だとは、信じられなかった。
「それじゃ僕はこれで。
遅刻しないよう気を付けてくださいね、河西さん」
「え?
何であたしの名前――」
「それじゃ」
にこりと本日最高の笑顔を見せた彼は、踵を返して行ってしまった。
ポカンとその場に突っ立っていると、胡桃に肩を叩かれた。
「すっごい!
前から紳士だとは思っていたけど、本当に紳士だね!」
「胡桃知ってるの?」
「知ってるも何も、クラスメイトだよ!」
「え!?」
あんなイケメンくんがクラスメイト!?
…そういや「イケメン」だの「王子」だの騒がれている男子がいたような!