目の前を振り向きもせず歩く、アヤメ。

知らないうちに、俺は傷つけていたのだろうか?






「……アヤメ、よくあの場所がわかったな」





世間話のつもりで、小さく問いかけると。

ピタッと停止ボタンを押したようにアヤメが立ち止まった。





「……アヤメ?」


「……胡桃。胡桃」


「は?胡桃さん?」


「胡桃が、教えてくれた」





……胡桃さんが?

どうして、俺の居場所を?

そしてそれを、どうしてアヤメに?





「胡桃が、教えてくれた。
桜太が夕焼け公園にいるって」


「……俺、胡桃さんに会ってないけど」





何で、俺があの場所にいるって?

俺があの場所へ行くと知っているのは、両親と兄貴とアヤメだけだ。