そして、歯車が狂い始めたのは、高校2年生のクラス替えの日。
名簿を見た俺は、書かれていた名前に驚いた。
<河西 彩愛>
河西、彩愛。
俺や真幸、幸恵さんのことを知る人物。
一気に要注意人物へ成り上がった。
俺のファンブックの編集長だと言う胡桃さんと仲良くしている、河西彩愛。
成績は悪く、スポーツも出来ず、正義感が強い人見知り。
俺と正反対のアイツに、俺は興味を持った。
『……もちもち?』
突然河西彩愛の家に同居すると兄貴に言われた時は驚いた。
真幸とデートだと言って断った、初めて兄貴の奥さんが家に来る日。
まさか…河西彩愛の姉と結婚していたとは。
俺と真幸の関係を知らない素振りをする河西彩愛。
注意深く観察している時言われた、もちもち。
『望月桜太?
じゃあ、もちもちだね!』
かつて真幸につけられた、変なあだ名。
言われるだけで、何だか心地よくなってしまった。
俺は次第に、河西彩愛と真幸を重ねて見るようになった。