「ちょっ…足、どけてください…」


「黙ってろって言ってんだろ」


「…………」




あたしの背中の上で立っているソイツ。

どけてと、別に間違ったことを言ったつもりはないのに、返される言葉は「黙ってろ」。

…あり得ないんだけど。




「ちょっ、どいてください!
このままじゃ遅刻しちゃいます!」


「勝手にしてろ」


「困ります!
遅刻したら成績に響きます!」


「へぇ。
成績とか気にするんだ」


「気にします!
というか本当にどいてください、重いです!」



あたしは道端にうつ伏せに倒れている状態だ。

人通りは少ないけど、朝っぱらから変な人になってしまう。




「にゃー」


「……ん?何だお前か」


「にゃー」


「お前も乗るか?
気持ち良さなんて皆無だけどな」


「にゃーっ」