入り口に立っていたのは、あの写真で見た真幸さんにそっくりな女性だった。
手には近くのスーパーの買い物袋を下げていた。
「桜太くん久しぶりね。元気だったかしら?」
「……はい」
ぎこちなく笑みを返す桜太。
…この人、真幸さんのお母さん…?
「真幸に会いに来たの?」
「……いえ。
ちょっと今別の所に住んでいるので、荷物を取りに」
「あらそうなの。
いつでも会いに来てやってちょうだいね」
「……はい。
ありがとうございます」
「あなたは?真幸のお友達?」
にっこり微笑まれ、あたしは微笑み返すも何も言えなかった。
「……あら、ユキ。来ていたの?
最近めっきり姿を見せないから、心配していたのよ」
「にゃっ」
「…もしかしてあなた、ユキを連れてきてくれたの?」
「はっはい!」
あたしは赤い牛の民芸品のようにこくこくと頷いた。