お前は河西彩愛であり、白井真幸じゃない。

顔は似ていても、性格は違う。





「……真幸」




俺はもう、二度と呼べない名前を呟く。





「……真幸。好きだった」






美人で可愛いせいで、男子からは好かれるけど、女子からは嫌われていた。

それなのに、女子にいじめられた時、男子は決して助けない。

誰にも守ってもらえず、傷だらけで泣いていた。



それなのにアイツは。

俺を二度、守った。

俺を守ることで、仕返しが自分に来ようとしても。

アイツは自らを盾にし、俺を守ってくれた。





「…真幸は俺のこと、好きだった?
俺のこと好きになって、後悔しなかった?」




真幸のことを思い出す度、アヤメと重なる。

――好きだった。

白井真幸のことが。





「……未練がましい、俺は」