「イテテ……」




歩きながら声が出た。

立ち止まってふと額に触れる。

ザラッとした感触があった。

手のひらを見てみると、赤く染まっていた。





「……やっちまった…」




ぶつかった時床に頭をぶつけ、衝撃で血が出たらしい。

まぁ傷も浅そうだし…大丈夫だろ。




保健室の扉を開ける。

ベッドで変わらず寝ている河西彩愛以外、誰もいない。

保健室、役立ってねぇなぁ。




えっと、絆創膏はどこだ?

キョロキョロ探していると、視界にアヤメが入った。




気持ち良さそうに寝ている、その顔は。

信じられないほど、アイツによく似ている。

2年になって初めて知った生徒だけど…まさかここまで似ているとは。





「……真幸…」





俺は絆創膏を探すのを止め、そっとアヤメの頭に触れた。