桜太は首を振った。





「んなことねぇよ」


「桜太、真幸さんが他の男とキスするようになって、ショック受けたんでしょ」


「……」


「だから自分も、そうするようになったの?」


「……」


「桜太は真幸さんのこと、好きだよね。
雑貨屋さんで、真幸さんへのネックレス、買っていたもんね」


「……ああ」


「真幸さんのこと、好きなんでしょ?
真幸さんのことを話す桜太、優しい顔していたもん」




好きなんだなって思った。

真幸さん愛されているなって思った。




「大好きな真幸さんを裏切るような真似、桜太はしないよ」


「…俺の何がわかる」


「伊達に1つ屋根の下、暮らしていませんから」


「…………」


「昨日、ユキくんに会わせて、朝の詫びだって言ってくれたでしょ?
桜太は曲がったことが嫌いで、借りっぱなしにするような人じゃないよ」


「…………アヤメ」


「1度、真幸さんと話し合ってみなよ。
桜太となら、きっとわかり合えると思うから」





桜太はこくりと頷いた。

そしてあたしの肩から、手を離した。