向いて、すぐにわかった。
体育館の半分で、男子が軽い試合をしていた。
そこの中央で目立っているのは…もちもちだ。
「望月くん凄い!」
胡桃が手を叩いて褒める。
確かにもちもち、上手い。
ボールを上手く操りながら進み、軽々とシュートを決める。
それも普通のシュートではなく、スリーポイントシュート。
相手チームらしい男子が行く手を阻もうとするけど、避けてシュートを決めてしまうもちもちに、
女子はもう大興奮だ。
「……望月くん、運動神経も良いんだね」
「頭は良いしイケメンだし、もう文武両道だね!
性格も良いし!」
「……そうだねぇ」
「アヤメ、望月くんに興味ないの?」
「……うん」
「女子で望月くんに惚れないなんて、珍しいね」
「……そうでもないと思うけど」
あの性格知ったら、惚れることなんて出来ないよ。
しかも彼女持ちだよ?
そんな叶わぬ夢、あたしは見ようと思わないね。