それは天竺大雷音寺でのことだった。
「玄奘三蔵!孫悟空!猪八戒!沙悟浄!よくぞ無事に天竺大雷音寺まで参られた。旅だったでしょう。奥にご馳走が用意してあります。」
「いいえ、如来様!私たち一行はご馳走を頂にきたのでは、ございません。」
「わかっておる。観世音菩薩、三蔵信経をだしておやり。」
「かしこましました。」
一行の目の前には無数の経が並べてあった。三蔵は一つを手にとり、こんなことをつぶやいた。
「これが、三蔵信経ですか。」 
「ええ、それがあなたの求めていた三蔵信経です。さぁ、その三蔵信経で長安へおもどりなさい。」
「はい。」
三蔵一行が振り向き外に出ようとした時でした。
「玄奘殿、」
呼び止めたのは、観世音菩薩でした。
「三蔵信経はあなたその者、あなたがお亡くなりになれば文字は消えこの世は再び闇につつまれるでしょう。あなたの一族が消えると三蔵信経は効果がなくなりますからね。」
「それは誠ですか?どうしたら良いのでしょう。」
「それは自分でお考えなされ。」
その言葉を残したまま。釈迦如来と観世音菩薩は消えていったのだった。
そんな出来事を思い出した悟空はすぐさま三蔵の書斎えゆき、すぐさま三蔵信経を調べた。
「やっぱりだ。八戒!悟浄!ちょっときてみろ!」
「兄貴どうした?」
「兄者!どうした?」