そのころ、三蔵の寺では。
「お師匠さん、今日はいいてんきですねぇ。」
「あぁ、少し肌寒いですがね。」
「まぁね。こんな日に沙悟浄や猪八戒が来てくれたらいいんですけどね。」
「あぁ、そうですねぇ。あのものたちはいったい、元気にやっておるのでしょうかねぇ。」
「悟浄は教師をやってるみたいですよ。八戒は飲食店を営んで頑張ってるみたいですけどね。」
「八戒は食べることが好きでしたからねぇ。悟浄は頭もいいし、真面目なほうでしたから教師は天職のようなものでしょう。」
そのときでした。
「玄奘様、沙悟浄様がお見えです。」
「悟浄が?通してくれ。」
「はい、ただいま!」
坊主に連れられて、沙悟浄がやってきました。
「おぉ、悟浄でわないか。よくきたな。」
「お師匠様もお元気そうで何よりで。」
「元気だったら、いいのだが私も先が短いみたいだ。」
「兄者に薬を作ってもらったらいいじゃないですか。」
「悟浄それが、そう言うわけにわいかねぇんだ。」
口を挟んだのは悟空だった。
「兄者!それはどういうことやねん?」
「仙薬は人間にはきかねぇんだよ。」
「んなら、人参果もってきたらええがな。」
「あれは俺がひっくり返して、全部消えただろ。」
「ほんなら、天界の桃は?」
「次盗んだら、五行山じゃすまん。」
「なんでやねん。どうすることもできやんのか?」
「そうなんだよ。だから、困ってんじゃねぇか。」
「兄者!自分ばっかり桃をたらふく食うたくせに、お師匠様の為にはでにやんとはそれは納得いかんな。」
「お前なぁ!いい加減にしろよ!」
悟空と悟浄の喧嘩にしびれを切らした三蔵が怒鳴った。
「もうよい!もうよいのだ!私は仙薬にも人参果にも桃にもたよらん。私はこのまま死んだほうが幸せなのだ!悟空にも看病してもらい、お前ともこうして会えた、私にはもう思い残すことはない!」
「八戒もきてくれりゃあ問題ねぇんだがな。」
「そやな。あいつだけは、親不孝もええこっちゃで!ほんまに!」
すると、悟浄の後ろから声が聞こえた。
「俺がどうしたって?」
「八戒!!」
現れたのは八戒だった。
「八戒よくきてくれたな。」
「もう、こねぇかとおもったぞ!」
「八戒兄者、どうして?」
「お前と一緒だよ。俺も呼ばれたのよ、勘っていうやつにな。」
「勘だと?」
「まぁな、勘だよ。」
「まぁ、何だろうと四人が集まるのは珍しいことだ。今夜は宴会でもしようじゃないか!」
悟空がそう言うと
「いいなぁ!そうしよう!」
三蔵が一番乗り気だった。
そして、宴会がはじまったのだった。
やはり、この四人が集まると、昔話で盛り上がった。