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この日、俺は自分の城に帰るため白の森を通過しようとしていた。
『ハル、そろそろ休憩じゃない?』
「そうだな、少し休むか」
近くの木に馬をとめ、2人して腰を下ろす。
俺はハルト=ブランウォルフ。
この『白ノ国』の王子だ。
『ハルってば。聞いてる?』
「悪い。少し考え事をしていた。」
隣の奴はユキ。
俺の幼なじみ兼、側近だ。
女には優しいし、仕事は早いし、俺より王子に向いてるんじゃないかと思う。
『それで、どうなったの?藍ノ国の盗人は。』
「別に何もないさ、引き渡しただけだ。何かあったとしたら王に感謝されたくらいだな。」
藍ノ国の盗人が白ノ国で捕まった。
ただの盗人ならよかったんだが、そいつは藍ノ国の城にも忍び込んだことのあるという要注意人物だった。
そのため、王子の俺が責任を持って盗人を藍ノ国に届けるというのが、今回の旅の目的だった。