『ハル、遅かったね…って、その子は?』
「ああ。池のほとりで倒れてたから、拾った。」
『拾ったって…動物じゃないんだから。』
ユキは苦笑いだ。
『しかし、何故こんなところに?
森ってだけで危険なのに、こんな薄手で。』
「しらん。」
『しらん、って…ハル。君は王子だ。命を狙われる立場なんだよ?
この娘だって、何者かわからない。連れて帰るわけにはいかないよ。』
「だめだ、顔色が悪い。早く城に帰って看てもらう。」
『ハル』
「…………」
『…わかったよ、連れて帰るのは認めるよ。
でも、怪しいと思ったらすぐに追い出すからね。』
「ああ。」
そして、ハルトとユキは馬を走らせ、城へと急いだ────