「葵様……これはどうしますか?」


招待客を調べていくうちにやっぱり問題が発生。


ババアは秋本家に招待状を送っていた。


今回はうちが公式に開催しているもので、秋本家に最後に送ったのは6年前とある。


北原は俺とユリの仲を知らないから純粋に高澤家と唯一肩を並べている秋本家に送ったことを訝しんでいるようだ。


「公式なものは浅井家に頼んで手紙を出してもらってるだろ?取り消ししようものなら逆にこちらがリスクを負う。」


「手紙の中身を調べましたところ、宛名は"秋本様"でした。つまり誰が来るか分からないのです。」


うちは当主あてに手紙を送るようにしている……ちょうどいい。


「秋本家はとりあえず置いておけ。問題はババアが呼び寄せたであろうあの女だ。」


「………。あの方のどこが不服なのでしょうか。」


写真で顔を確認している北原は首を傾げながら作業している。


お前には分からないだろうな。


ユリがいるのに裏切るような形になるってことを。





その後黙々と招待客整理をし、ちょうど終わったところで1人のメイドが執務室をノックした。


「失礼します。葵様、ヘリポートにさ、桜井様が……!」


アイツ………許可もなくなんてことを……!


「すぐ行くと伝えておけ。北原は俺がお前が来るまでにやっておいた書類を確認して業務終了だ。」


「「かしこまりました」」





「よお!葵。」


ヘリの運転席からニコニコと俺に手を振ってくる玲央に俺は無性に腹が立った。


「人の家のヘリポート使うんだったら事前に言っておけ。ここがどこだか分かってんのか?」


「ああ。高澤家だろ?言っておくが俺を誰だと思っている?」


余裕な笑みを浮かべたいつも通りの玲央にふと、笑いがこぼれた。