翌日、早朝5時に起き、朝ごはんもそこそこに俺は書類と戦っていた。


なるべく北原が来る前に終わらせるものは終わらせないと……。






「失礼します。おはようございます、葵様。」


そんな声が聞こえた気がしてパッと前をみると、いつもより服装を綺麗に着こなしている北原が。


そうか、もう出社時間の9時か………。


いつもネクタイが曲がってたり、髪の毛が跳ねてたりしているからなんだか見慣れない。


普段からちゃんとしろよな……。


「見たところ今日の分は後、パーティーの招待客調べのみってところですね。今日執務室に上がって来る予定の資料はないです。」


「みたいだな。俺も手につけられそうだから、さっさと片付けるぞ。今日は用事ができて12時には家を出なきゃいけない。」


あ、しまった、アイツどういう手段で迎えに来るか言ってねえ!


「そうですか、そのことは誰かご存知で?」


言えるわけねえよな……。


秋本家と高澤家の人間が会うなんて大げさに言うと世紀に残る出来事だ。


って高澤家に付いている奴らなら言いそうだ。


「言わなくてもいいだろ。商談なんだ。お前でも言うわけにはいかねえ。」


「余計な詮索失礼いたしました。では早速取り掛かります。」


もし、秋本だと言ったら……ババアに言うつもりだったのか?