「周りに誰もいないか?葵。」


冷静な玲央の声が携帯から響いてきた。


「大丈夫だ。お前の電話は人払いした後に出たからな。しばらく来ねえ。」


「wifiをつないだ携帯から情報を盗み取ることができるだろ?」


「それは知ってる。ただ目的が分からない。」


ユリの連絡先を知ったところでどうするつもりだ。


アイツあまり携帯使わないし、なにより携帯のセキュリティー機能はかなり高い。


高貴なご令嬢だと教えてから携帯を変えたと玲央自身が言っていた。


見せてもらったが秋本家特製の携帯の機能は恐ろしいほどだった。


さすが秋本会長....。


「葵、何か心当たりはあるのか?」


心当たりか...。


そんなものありすぎて困る。


「ある。ありすぎて困るほど。ただ確定してからの方がいいだろうし何より機密情報だ。いくらお前でも言えねえな。」


「それは当然だ。俺だって秋本家の情報をお前に話していないはずだろ。」


確かに。


そこの線引きだけは、はっきりさせおきたいところだな。


「とりあえず明日午後1時、秋本グループ本社で会長が極秘で会おうとおっしゃっている。そこに辰彦様もいらっしゃるそうだ。行けそうか?」


「ちょっと待ってろよ。」


今日、通常通りなら午前で終わる...なんとかなるか。


「おそらく大丈夫だと思われる。秋本会長に諾と返事をしてほしい。」


「分かった。明日俺が迎えに行くから待ってろよ。」


「了解。」


秋本家御当主に警視総監ときたか...。


さすがの俺でもそれは緊張する。