ペンションに戻ると、橘くんがロビーで電話をしていた。

その後ろ姿を見るだけで、今となっては手遅れになった感情が溢れ出す。

すると、視線に気づいたのか、電話を切った橘くんが振り向いた。


「……あ、の。これ、ありがとう」

「ああ……」


着ていたパーカーを脱いでさっと畳んで渡した。


「せ、洗濯してからの方が良かったら、家でしてくるけど…」

「いーよ、そこまでしなくて」