俺は屋敷の螺旋階段を駆け上がった。
そして、腕時計に目をやる。
もう、ジンさんと別れてから二十分が経過している。
ジンさん…大丈夫なのかな…。
争うような物音がすっかり聞こえなくなった。
…決着はついたのだろうか。
俺を追ってくるリベリオンの気配はまだないが
ジンさんがあれだけの人数を相手に、二十分以上も魔力を使い続けられるとも思えない。
俺は、ぐっ、と握り拳に力を入れた。
俺は、ジンさんにラグナを頼まれたんだ。
もし、この先に何人敵がいようとも、俺は一人で闘わなければいけない。
ジンさんとの“男の約束”は絶対守るんだ。
俺は、すぅ、と深呼吸をした。
ラグナ…。
…頼むから、無事で居てくれ……!
ドォォオオォン!!!
その時、二階の奥の部屋から、大きな物音が聞こえた。
微かな魔力も感じる。
その魔力は、俺のよく知っているものだった。
「ラグナだ!!」