「ジェフ、ラグナを頼んだぞ。」
「えっ?!」
俺は驚きのあまり、声が裏返った。
「ま…まさか、この人数を一人で相手するつもりですか?!」
俺の言葉に、ジンさんは黙って頷いた。
「無謀すぎますよ!俺も残って一緒に闘います!」
いくらジンさんといえども、こんな数一人じゃ絶対無理だ。
集団で襲われて、殺されるに決まってる。
…二人で闘っても、勝てるかどうかわかんないのに。
すると、ジンさんは俺の背中を
トンッ!と押した。
「早く行け!」
「!」
ジンさんは、大きな声で怒鳴った。
そして、いつものような、優しくて、本心を悟らせない顔で俺を真っ直ぐ見た。
「ジェフが傷ついたら、ラグナが悲しむだろ。
僕が守るものに、お前も入ってるんだ。
お前の行く手には、僕がこいつらを行かせない。」
どくん
心臓が鈍く音を立てた。
「……僕が傷ついても、ラグナはなんとも思わないさ。
さぁ、ここは任せて、早く行け。
ラグナは、お前が奪還するんだ。」