……どうやら、俺はとんでもない人に喧嘩を売っていたらしい。
この人は、決して怒らせてはいけない人だ。
俺は、一瞬でそう悟った。
男は、引きつった笑みを浮かべて
ジンさんに言い放った。
「い…いくらお前が上級クラスの魔法使いだとしても、仲間の青年とたった二人では、この人数は倒せないだろう!
……お前ら、一気にやっちまうぞ!」
男がそう言った瞬間、階段の裏や、横の部屋から黒マントを羽織った男たちが一斉に飛び出してきた。
なっ……何人いるんだ?!
ざっと見渡しただけで二十人は軽く超えている。
今いる部屋を埋め尽くす勢いだ。
こんな数相手に闘ったことなんて
生まれてから一度もねぇっ!!!
俺は改めて命の危険を感じた。
すると、ジンさんが俺の腕を、ぐいっ!と引っ張った。