自分に向けられた瞳ではないと頭ではわかっているのに
恐怖で身体が動かない。
俺の隣にいるのは、誰なんだ?
本当に、あのジンさんなのか?
「ラグナを何処にやった…?」
聞いたこともないほどの低い声が、静かな屋敷に響いた。
男も、ジンさんのあまりの豹変ぶりに
動揺が隠せない。
「…お…女ならこの屋敷の中さ。
もっとも、リベリオンの仲間が見張っているから、外には出られないだろうがな!」
すると、ジンさんは表情を変えずに言った。
「傷つけたりしてないだろうな…?」
「て…抵抗されたから、少々手荒になってしまったよ。
まぁ、殺してはない 「おい。…今、なんつった………?」
びくっ!
男と共に、俺まで背筋を震わせる。
……怒っている。
あの、何をしたって笑って受け流すジンさんが、“本気で”怒っている。