陽輔くんの言葉は、俺の心臓をえぐりとるような感覚を覚えさせた。
突然の言葉に凛子さんも言葉を失い、
自分の足元を見ていた。
「昔...はね。」
「...へ...」
陽輔くんの微笑んだ口元が
俺のポカンと開いた口を笑っているようにも見えた。
凛子さんは自分の足元を見たままだった。
「凛子、俺先にいってるよ。」
そーいって陽輔くんは少し寂しそうな笑みを見せると
俺と凛子さんに背中を向けて歩いていった。
「...翼...くん。」
凛子さんは自分の足元から俺の足元に視線を変えて
その大きな目をゆっくりと俺の目まで視線を上げた。