高校3年生の夏。

部活中に雨が降ってきたので次の日の試合の荷物詰めをして部活が終わった。

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「あー、傘持っててよかったけど、これ明日やむかな‥‥」


でも、この調子じゃ、明日は晴れるかな。

そんで明日はお母さんたちも見に来てくれるし‥‥



足元が濡れるのもお構い無しに、母達が来ることだけを考えてスキップしながら帰っていた。


いつも通る河原。


ここを通る時は自分がお姉ちゃんになった時のことを思い出す。





傘を振り回して歩いていた時、

橋に男の子が座っていた。







こんな雨の中、傘もささず、遠目だったが、ボロボロに見えた。


「あんなとこ座って危ないな‥‥」


私は何も考えず走っていた。


その男の子の所へ



「ちょっとー!危ないよー!」




少年はこちらに気づいたらしいが、なにも反応せず、俯いたままだった。




私は近くまで駆け寄り、


「危ないよ!僕!」


少年は返事もせず、振り向きもしなかった


「ねぇ‥‥」


私は肩をたたこうとすると



「触んなっ!!!!」


少年は私の手を振り払い橋から飛び降りこちらを睨んでいた。


「こんなとこ座ってたら危ないよ、雨も降ってるし、送ってあげるから帰ろ?」

私が手を差し出すと

「来るな!近寄るな!俺がどこに座ってようがお前に関係ねえだろ!」


少年は鋭い目つきでこちらを睨んできた。

今にも噛み付いてきそうな素振りで


「‥‥関係なくない。ママもパパも心配してるよ?帰ろ?」


「‥‥‥‥うるせぇ‥‥うるせぇうるせぇうるせぇ!!!!」

少年は叫び出した。


「うるせぇんだよ!!!!誰も俺に構うな‥‥俺なんかいなくても誰も悲しまねえよ!!!!母さんも父さんも‥‥俺なんかいらなかったから‥‥」


言葉に詰まった少年が俯いた、雨で濡れてわからないが涙を流しているようにも見えた。

妹と同じぐらいの歳かな。まだ幼い。

何がこの少年にこのような目つきをさせているのかもわからない。

どうしてこんな怪我があるのかもわからない。

でもなぜか私の体は動いていた。



「なっ!!離せ!!!離せよ!!!!」


私は少年を抱きしめていた。傘も捨てて

「離さない。君が泣き止むまで離さない。」

「なっ‥‥泣いてねぇよ!!離せ!!!!クソ女!!!!」

「‥‥何があったかなんて聞かないよ‥‥。そして離さない。今は私が君を離さないよ‥‥。」


私がそう言うと少年は私の肩を掴んでいた手を力が抜けていくように離した。


そして、




声を荒らげて、泣いた。