佐藤さんを正面にすると、声に出そうとしていた、 『ありがとうございます』 すら、この不思議な気持ちに飲み込まれていった。 そんな『ありがとう』を言えず、とりあえず頭をペコッと下げた。 すると、佐藤さんはおもしろそうに、 「はは、変な人。」 とその少し怖い顔を綻ばせて笑っていたんだ。