昇降口に出ると、アヤちゃんはまだ来ていないみたい。

よし、今のうちに心の準備を……



「おつかれ、芙美」


聞き間違えるはずもないこの声は……アヤちゃん。



心の準備くらいさせてよっ。

心で泣きながら、振り返る。




「おつかれ、アヤちゃん……」


「行くよ」



まだ低い声でアヤちゃんが先を歩き始める。


今、逃げることが出来たら私はどれだけ幸せでしょうか。