あれからどれくらい待っただろう。
携帯の画面には8時と表示されていたけど、千佳は出てこなかった。
待っているうちに雨も止んでいて俺は必要なかったけどなんとなく千佳と話したくて。
それから大体10分経った頃、店の裏からガチャっという音と共に人影が見えた。
千佳か…?
その人影は徐々に俺の方に近づいてきて、店の光でその姿がハッキリと見えた。
驚いたような顔をする千佳が立っていた。
「なに…やってんの」
俺にとったらこうやって千佳から俺に話し掛けてくれた事がとても嬉しくて自然と笑顔になる。
すると、物凄い大きな音が千佳の腹から聞こえてきて千佳は恥ずかしそうに手で顔を覆って最悪なんて言っている。
外ばっか見たり睨んだりするだけの奴かと思ってたけどこんな可愛い表情されたら俺も笑わずにはいられない。
朝から何も食べていないと言った千佳の腕を引いて俺は自分の家に向かった。
千佳らしい反抗するけど腕を振り払う事なくブツブツ言いながら何だかんだ俺について来てくれた。
正直、自分もなかなか大胆な事したなという自覚はあった。
千佳の顔も少し緊張している様子で、俺の緊張も更に高まる。