まさに不機嫌って顔をしながら注文したコーラとメロンソーダを運んでくる千佳。


俺にとったらそんな表情ひとつひとつも愛おしくて。


乱暴にテーブルに飲み物を置くとあっという間に奥のカウンターに姿を消した。


「おい悠!おまえ俺に黙っていつの間にあんな美人と…」


俺と千佳の会話してる姿を見て思ったのか拗ねたような顔で飲み物をブクブクとしながら龍平が言う。


「まあな」


やっぱどこから見ても綺麗なんだな千佳は。


龍平の奴なんて石原さとみに似てるなんて言い出してさ。
言われてみれば雰囲気とか顔立ちは似てるかもしれない。



それから色んな事を龍平と話した。
昔の思い出話なんかも話したりした。



「そろそろ帰るか」

そう龍平が席から立ち上がり、俺も伝票を持って時計を見ると7時10分を過ぎたくらいだった。

千佳はまだバイトしている様子だ。


会計を済まし、外に出ると昼間ほど強くない雨が降っていた。



そういえば千佳は傘がなかったって言ってたよな…。


このままだったらまた濡れて帰る事になるだろう。


「ん?どうした悠?」


立ち止まる俺に龍平が振り向く。


「あー。俺あいつがバイト終わるの待ってるから先帰っていいぞ」


「ふぅ〜ん?じゃあな悠!」


ニヤついた顔で龍平は手を振って帰っていった。


龍平の姿が見えなくなるまで見て耳にイヤホンを付けて音楽を聴いて時間を潰す。


外は肌寒くておれのため息は白く煙になって暗闇に消える。