夕暮れ時の空はぼんやりと赤くて、これから空に美しい花が咲く為の真っ黒なキャンバスは本当に用意されるのか、と考えた。用意されなきゃここにいる多くの人ががっかりするんだろう。僕はもう、真冬と見れる景色ならなんだっていいと思っていた。河原に着き、去年と同じ場所に座った。真冬の着物が汚れるのを気にして、僕は自分のハンカチを開いて真冬をそこに座らせた。