僕は一年前を思い出していた。夏の空気。河原に溢れんばかりのすごい人の波。はぐれないように、一瞬だけ繋いだ手。汗だらけのシャツ。夏の夜のにおい。色とりどりの屋台。シートを敷いて、座る微妙な二人の距離。打ち上がる赤、青、緑、色とりどりの名前も知らない花火たち。一瞬の命。それに見とれる人々。花火の光に浮かんでは消える、真冬の顔。近くにいるのに、果てしなく遠く感じる距離。
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