相手が頷けば笑みを作り、首を横に振ると表情が渋る。判らない、などと答えられた時には普段見せないような険しい顔をしてみせた。その度に、隣にいた男は何か起こるんじゃないか、と冷や汗ものだった。
実際何かが起こったことはなかったが、喫茶店でたまに冷や汗を浮かべるその男は僕である。