『んー、でも、ねぇ?』




『な、なに?』






『…まぁいっか。』






うーん。と唸りながら考え事をしている麗奈ちゃん。

いつも思うけど麗奈ちゃんほんとに綺麗なんだよね。
私なんかが隣にいていいのかなってくらい。





『じゃあこの実験道具直しといて。化学の係の人〜。』






『あ、私だ!』






意外にも実験道具の数が多く、みんなもう帰ってしまった。





『桜花、手伝おうか?』





『あ、ううん!麗奈ちゃん今日小島先生に呼び出されてたでしょ。そっち優先して?』




『んもう。私のこと気にしてくれる優しい桜花大好きよ。すぐ来るから待っててね。』





私は笑顔で手を振って、ビーカーを手に取る。





『…思ったより高いな。』






届くかな、とうんと背伸びをしてみるけど、あとちょっと、というところで届かない。





『…ん、しょ!』






『こういう時こそ頼ってよ。』







後ろからビーカーを直してくれる影。





『…あ、りがと。』






『どういたしまして。早く終わらせよう。』






『…水崎くん帰ったんじゃなかったの?』





『帰ったけど今日係の佐伯休んでたの思い出して戻ってきた。西山さんこそ誰かと一緒にって思わなかったの?』






『…私は、1人で大丈夫だから。』





『俺来なかったらビーカーどうするつもりだったの?』





そうクスクスと笑いながら聞く水崎くんはどこか楽しそうで。



『…私1人で直せたもん。』






『あ、初めてちょっと素を見せてくれた。』





水崎くんってやっぱり変わってる。
なんでこんな人がモテるのかわからない。



だけど……優しい人だな。