『あ、水崎くんだ!』




『ほんとだ!かっこいい〜、!』





もう既に集まっていた学級委員の女子たちは、口々にそう言う。



そう、水崎くんはモテる。



そんな水崎くんをなぜ私が嫌いなのかと言うと…




入学式の日、散々アホ呼ばわりされたから。
あと、見ず知らずだったのに失礼だったから。





『なぁ、どこ座んの?』




『あー、えっと…ここらへんで…』





控えめに椅子に座り、筆記用具を出す。
水崎くんは暇そうにあくびをしている。





『…水崎くんは学級委員嫌じゃないの?』



『そりゃ嫌だよ。でもだれかがしなきゃ終わんねーだろ。』




そう言って、うつ伏せになった。
寝る気だな。




『…。』





『…あのさ、』




『…はい?』





『名前、なんだっけ?』





確かに少ししか過ごしてないけど、今更それ聞くんだ…




『西山です。』




『違う。』




『は?』





『下の名前。』




『あー…、桜花です。』




『桜花。了解。…水崎桜月。』




そう言って彼は手を差し出してきた。




嫌いな人の、苦手な人の、手を握るのはちょっと…なぁ。




『あ、よろしく…』



『もしかして、潔癖?』




『や、違います。気にしたこともないです。』