『あの…私水崎くんのこと苦手だけど…今日は…その、ありがと。』





『ははっ!苦手ってはっきり言うんだ。』






『…ごめん。』






『や、別にいいよ。さ、終わったし帰ろっか。』






水崎くんは変わってるけど、
きっと誰にでも優しいから
モテるのかな。






『あ!桜花!終わったの?ごめんね、行けなくて。』





『大丈夫だよ。麗奈ちゃんも忙しかったんだし。』





『私今日これから部活だけど…』






『うん?私はいつも通り帰るよ?』






『うーん…なんか小島が言ってたんだけど、昨日このへんで不審者が出たらしいの。…桜花カワイイから心配。』





『大丈夫だよ!私だもん。それより麗奈ちゃんが心配だから佳斗くんに送ってもらいなね?』





『な、なんで佳斗なの?!いや、それより、桜花。やっぱり誰かと帰りなよ。あ、ほら水崎とか!』




『ちょ、麗奈ちゃん声大きいよ。』






その声は水崎くんまで届いていたらしく、こっちを向いていた。


だけど、水崎くんは私とは反対方向だし、それに私苦手だし…





『麗奈ちゃん私一人で帰るよ?』






『水崎ー、今日桜花と帰ってくんない?』




『別にいいけど。』





『待って!…水崎くん昨日私とは反対方向に帰ってたじゃん。』





私は必死に一緒に帰りたくない理由を探した。




『昨日は用事があったから左に曲がっただけだよ。本当は右方面。』





『ほら、桜花と一緒じゃん!嫌なら駅まででも送ってもらって!』





『…わかったよ。』






麗奈ちゃん強引なんだから。
水崎くんにも迷惑だよきっと。



早足で帰ろう。
そう心に決めた。