裕貴さんも、もちろん素敵だとは思うけど。
ヒロの方が、みんなの視線を集めてること、あたしは知ってる。


裕貴さんと同じくらいの長身。
何センチあるんだろう。



ヒロに気づかれないように、背伸びしてみても全然届かなくて。

やわらかそうな、その後ろ髪がささやかな風で揺れるたび……。




――……って!



ダメダメっ。



フルフルと首をふって、その先をあたしの中から追い出した。



もう、考えないって決めたのに。

会わないって、そう決めた時からあたしの心は決まってるんだ。


だから、その先はダメ。







大袈裟な程手まねきをする裕貴さんを眺めて、苦笑いのヒロ。



そんな彼を、ところかまわず見つめてしまったことを後悔した。



ぼんやりしていたあたしに、奈々子はツンと肘で何かを合図した。

奈々子の視線の先を追うと、呆気にとられてる水谷の姿。



「アイツ。うちらが本当に“男”連れて来たから、マジビックリしてるね」


「ほんとだー。 てゆか、そんなに驚くことかなー」






でも、みんなが注目しちゃうような人を連れて帰って来たんだもんね。
そりゃあ、水谷も開いた口塞がらないでしょ。



「ユイちゃーん、 ほら、これなんて、ど?」


「……プッ。 それ、レオタードだし!」



ドンキでかき集めた衣装を、物色する裕貴さんを見て、思わず吹き出してしまった。